幕の製作は、お客様のご要望や予算、使用用途に合わせて無数のバリエーションがあり、さまざまな演出が可能です。
ここでは一般的な舞台に使用される幕の名称や役割を、シンプルなベタの幕から、ひだや山をつけて高級感を演出した幕などのバリエーションをわかりやすくご紹介します。
緞帳(どんちょう)
(Hose curtain, Tab Curtain)
オペラカーテンとも言われ、舞台の最前列で客席から舞台を隠す大きな幕(緞帳)のことで、開くときに幕が中央から割れ、左右斜め上方に向かって開く幕のことです。生地には、主にベルベットが使用されます。
暗転幕
(Black curtain)
演目中に場面を転換する際に、舞台面に黒い幕を下ろし客席から見えないように転換作業をする時に使う幕で、主に緞帳の後ろに吊ってあり使用されます。明かりが洩れない黒生地を使用し、主にウールサージ、11号帆布黒が使用されます。
文字幕
(Border)
舞台上部に吊られている照明の光や道具幕などを、観客の視点から隠すのが目的で、上下(かみしも)に、長く張られた幕のことです。従来は「貫八別珍」が使用されていましたが、最近では主にウールサージが使用されます。
袖幕
(Leg)
文字通り舞台の「袖(そで)」に吊ってある「幕」で、主に舞台の袖中(裏側)を隠す目的で用います。従来は「貫八別珍」が使用されていましたが、耐久性、音響吸収性、漆黒、遮光性にすぐれているため、最近では主にウールサージが使用されます。
大黒幕
(Blackout Curtain)
ホリゾント幕を隠す、黒い大きな幕を「大黒幕」、通称「おおぐろ」と言います。ホリゾント幕とセットで、ほとんどの劇場に設置されています。
ホリゾント幕
(Cyclorama)
照明をあてることで、背景として使われる白色の大きな幕。主に舞台の一番奥にあり、上下にあるホリゾントライトにより、様々な背景として演出されます。光があたった際に"しわ"になっていると目立つために、11号帆布の生成や薄グレーが使用されることが多いですが、最近では"しわ"がより目立たない塩化ビニール製のスクリーンが使用されています。
中割幕
(Traveller Curtain)
文字通り舞台の中程に位置する幕のことです。"ひだ"がある一般的なカーテンのような形の幕が多く、カーテンレールに取り付けて左右に開く「引き割り幕」を多く使います。
べた(ひだなし、フラットカーテン)
ハトメ ちちひも
ちちひも
留め具なし
留め具なし ウラ
山やひだのない最もシンプルな舞台幕です。
シンプルであるため使用用途が広く、生地の使用量を最小限で抑えられ、コストパフォーマンスも優れています。
ハトメひだ
ちちひも
パイプキャット
Gクイック
生地は、フラットな状態で製作しハトメを打ってあります。ハトメを「ちちひも」で結んで"ひだ"をつけます。オペラカーテンや高さのある幕の"ひだ"を優雅に、かつきれいに見せるのに最適です。運搬時には"ひだ"をとっていないのでベルベットのようにデリケートな生地に、余計な"しわ"がつくことを防ぎます。
3つ山ひだ(トリプルプリーツ)
生地を立体的に縫い合わせて3つの山を作ります。3つ山にすることでボリューム感が出てエレガントな印象を演出できます。上部にカーテンレールに取り付けるヒルカンをつけてレース、別珍、ベルベットのカーテンに使用されます。
寝かせひだ(ナイフプリーツ)
1.5倍ひだ
2倍ひだ
弊社でもっとも一般的な"ひだ"です。生地を一定の割合で重ね合わせて"ひだ"を作ります。"ひだ"は、1.5倍、2倍など生地を重ねる割合によって重厚な印象を与えることができます。弊社ではコストパフォーマンスの面から、1.5倍を推奨していますが、優雅さや美しさをみせるのには2倍"ひだ"を推奨しています。
ギャザーひだ
レース生地によく使用されるスタイルで、無数のひだを細かく作りだすことにより、可憐な印象を演出します。